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美術館問はず語り「異文化吸収の力―仏教美術の面白さ」

本年度の最後の展覧会、つまり平成20年1月から3月開催の特別展として「ガンダーラ美術とバーミヤン遺跡展」を企画しました。この展覧会は私の専門を生かして、東西文化の融合したガンダーラ美術の面白さをわかりやすく展示し、またバーミヤン遺跡の実体を明らかにしようとするものです。

私がアフガニスタンのバーミヤン遺跡を初めて訪れたのは1969年、今から38年前のことです。研究者の間ではバーミヤンの名は知られてはいましたが、本格的な調査は行われておらず、その実体さえ不明なことばかりでした。初めてバーミヤン遺跡を目の前にした時の感動は今でも忘れません。高さ38メートルと55メートルの二体の巨大仏、700以上の石窟群から成る壮大な摩崖の光景。その後、1974、76、78年と計4回にわたって、あわせて7ヶ月余りバーミヤンに滞在し調査する機会を得ました。また、パキスタンのガンダーラ美術、およびインド各地に残る仏教遺跡や博物館の調査も並行して行いました。

1979年暮れに旧ソ連軍のアフガニスタン侵攻によって、東西の均衡は破れ、長い内戦の時代になってしまい、調査もできなくなりました。私はその後、ウズベキスタンや中国の新疆、甘粛、陝西、四川などにも足を伸ばし、インドで生まれ育った仏教美術が、中央アジア・中国でいかに変貌し、発展したかが、大きな研究テーマとなりました。仏教は不思議な宗教です。その思想の中心は「無」や「空」を説きますが、異文化・異宗教に対し寛容で、むしろそれらを積極的に吸収し融合させるシステムと力を持っています。

今回の展覧会は、埋もれた状態になっている世界屈指のガンダーラ美術の国内コレクションの至宝を一堂に集め、また破壊されたバーミヤン遺跡のかつての姿と、修復保存の作業を通して明らかとなったバーミヤンの謎に迫ろうというものです。乞うご期待。

(当館館長 宮治 昭)


出品候補作品を調査する宮治館長
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ガンダーラ美術とバーミヤン遺跡展

2007年
12月28日(金)〜3月30日(日)



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