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草間彌生の世界
初期油彩画の代表作から近作まで

2007年10月17日(水)〜11月18日(日)


1929年(昭和4年)、長野県松本に生まれた草間彌生は、1950年代後半に単身アメリカに渡り、網目と水玉が大画面のキャンヴァスを埋め尽くすモノクローム絵画を発表して、一躍高い評価を集めました。以後、既成の形態を柔らかい突起物で覆うソフト・スカルプチュア、スキャンダラスなボディーパフォーマンス、鑑賞者の身体を包含する鏡を用いた空間作品など、常に時代の数歩先を行く表現活動を行ってきました。

幼い頃から幻覚や幻聴に襲われていた作家は、網目や水玉で世界を埋め尽くすという行為によって、不安や怖れから抜け出す手段としました。その内的なオブセッション(強迫観念)が生み出す網目や点の集積は、絵画に留まることなく、立体、身体、空間にまで増殖していったのです。

この展覧会では、当館が所蔵する初期油彩画の代表作《無題》とソフト・スカルプチュア《最後の晩餐》に加え、作家からお借りした作品約10点(予定)を特別に展示します。なかでも2000年にフランスのディジョンで発表され、2004〜2005年に日本で開催された大規模な回顧展で話題を呼んだ《水上の蛍》は必見です。内部を鏡が覆う空間の天井から150灯の電飾が吊り下げられ、暗室の中で多色の電飾の光が輝きます。光は、プール状の床に張られた水と四方の鏡に反映し、鑑賞者の身体も包含して無限に繰り返されていきます。入り口のドアから入り、水面にかかる通路を歩く時、板の上から滑り落ちると、深い水の底に落ちて身体ごと消滅してしまいそうな死にも通じる恐怖がこの作品の美しさを際立てます。

このほか、作家が2005年から現在まで描き続けている近作の絵画シリーズの中から数点をご覧いただきます。100号のキャンヴァスに黒のアクリルマーカーで描かれたもので、網や点に混じって、人間の顔や、目、人形のような姿をした人体が描かれています。中心や構図がなく、画面が埋め尽くされているという点で、初期モノクロームの油彩画との共通性が見られます。

多様な展開を見せながらも、初期から現在まで連続性を帯びた草間彌生の世界をご堪能ください。

(当館学芸員 川谷承子)


《水上の蛍》2000年 作家蔵
photo courtesy:草間彌生スタジオ


部分


《早春の芽生え T.A.A.Z》2005年 作家蔵
photo courtesy:草間彌生スタジオ、オオタファインアーツ


information 
●観覧料
一般・大学300円(団体200円)
※高校生以下および70歳以上無料

会期中イベント
●ギャラリートーク
10月27日(土)、11月10日(土)
両日とも14:00〜、15:00〜

●子ども鑑賞講座
10月21日(日)、11月17日(土)
14:00〜15:00
※要申込み。本展観覧料が必要です。
詳細は当館学芸課 054-263−5857まで。




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