アマリリス Amaryllis

2011年 冬 No.100

美術館問わず語り
ガンプラプロジェクトに参加して

 今年度県立美術館に赴任して、3回目の企画展がやってきた。『ロボットと美術』展である。折りしもJR東静岡駅ではガンダム立像を目玉とした「静岡ホビーフェア」が開催中で、同じくガンダムを含めロボット関連の展示を行っている今回の企画展には相乗効果が期待できそうである。
 そこで『ロボットと美術』展への誘客促進と館内の雰囲気をより一層盛り上げていくため、県立美術館有志による企画、通称「ガンプラプロジェクト」を立ち上げた。
 これは本企画展の担当学芸員を筆頭に、総務課企画展担当者やガンプラ(ガンダムのプラモデル)好きの職員で構成され、企画展示に負けないような作品を館内に展示して来館者の方により楽しんでいただこうというものである。なお、この企画に賛同した青森県立美術館学芸員の方の作品も加わり、もう気分は"チームガンプラ"の様相を呈してきた。
 今回はロボット関係がメインの企画展のため、来館者の客層はマニア系のファンが大勢を占めることが予想される。果たしてこの企画の効果はあるのか?多少の不安とともに開館日を迎えた…。
 しばらくしてこの企画が来館者にも好評を得ているらしいことが分かってきた。来館者のブログに感想が写真付きで掲載されたのだ。やった!来館者もちゃんと見てくれている。しかも概おおむね好評らしい。喜ぶプロジェクトメンバーの面々。準備までの苦労が報われた瞬間だ。
 だがこうなると更に欲が出てくるのが人情美術館問わず語りガンプラプロジェクトに参加してというもの。開催期間中同じ展示では来館者が飽きてしまうため、"一部展示替え"を行うことを決意し、新たな模型の製作に取り掛かった。
 しかし作り始めてみると今度は少し勝手が違う。残りの開催期間との勝負で思った以上に時間がないのだ。しかもこういう時に限って残業が続き、更に製作時間が制限されることになった。なんとか完成させて展示したのは企画展終了4日前であった。
 今回の企画展は終わってみれば、目標を上回る16,197人の来館者数で、まずは成功だったと思われる。ガンプラプロジェクトは大変な面もあったが、私自身これまでの職場経験の中で趣味と実益が合致した数少ない事例の一つである。職員が手作りで製作したこれらの作品が少しでも来館者の呼び水となり、記憶の片隅に留めてもらえたのであれば幸いである。
(当館総務課主査 石川 芳弘)

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