アマリリス Amaryllis

2011年 秋 No.103

京都国立博物館名品展 京都千年の美の系譜−祈りと風景−
10月22日(土)~12月4日(日)

 芸術の秋、静岡県立美術館では、京都国立博物館の所蔵名品展を開催いたします。
 美術に関心のある方なら、一度は京都国立博物館を訪れたことがあるのではないでしょうか。いうまでもなく、京都国立博物館はわが国を代表する博物館の一つであり、明治30年(1897)の開館以来様々な活動を通じて日本・東洋美術の魅力を発信してきた長い歴史と伝統を有しています。東京・奈良の各国立博物館と並び博物館の嚆矢とされる同館が所蔵する至高のコレクションは世界的にも知られ、平成22年度末時点で6,500件を超える館蔵品のうち、国宝は27件・重要文化財は177件を数えます。
 現在、京都国立博物館では平常展示館の建替工事が行われており、平成25年の完成まで平常展示を休止しています。今回の展覧会が実現したのはこうした特殊な事情によるところが大きく、国宝6件・重要文化財22件を含む66件という通常ではまずあり得ない大変豪華な出品ラインナップとなりました。これは、静岡県立美術館が「風景」をテーマとして種々の活動を展開していることから、それにふさわしい展示となるよう京都国立博物館の研究員諸氏と打合せを重ねた結果であり、絵画・書跡・彫刻・金工・陶磁・漆工・染織・考古の各分野から選りすぐりの優品が出品されます。
 古来、東洋美術においては、山水表現と信仰世界は深い結び付きをもってきました。これは、自然の中に聖性を見出す東洋独特の思想に由来するもので、中国の神仙思想などはその一例といえましょう。今展のテーマを「祈りと風景」としているのはそのためであり、このテーマに沿った作品の選定を行っています。平安時代に制作された屏風絵の唯一の現存作例である《山水(せんずい)屏風》(国宝)や、中国から移植された水墨画の技法によって日本の風景を新鮮な感覚で描いた雪舟《天橋立図》(国宝)など、珠玉の名宝の数々を一時に見ることができるまたとない機会です。どうぞお見逃しなく!
(当館主任学芸員 福士雄也)


雪舟筆 天橋立図 室町時代(16世紀)国宝
※展示期間:10/22 ~11/13
山水屏風 平安時代(11世紀)国宝
※展示期間:11/15 ~12/4

Information

特別講演会
[会場:当館講堂]
11月13日(日)14:00 ~15:30
「きらめく京都、きらめく近世の絵画」
山下善也氏(京都国立博物館連携協力室長)
11月19日(土)14:00 ~15:30
「京都千年の美術―そのかざりとかたち―」
久保智康氏(京都国立博物館企画室長)
美術講座
[会場:当館講座室}
11月6日(日)14:00 ~15:30
「洛中洛外図を歩く」
福士雄也(当館主任学芸員)

このナンバーの号のトップ

前のページヘ次のページヘ