アマリリス Amaryllis

2012年度 夏 No.106

本の窓
『ハウス・オブ・ヤマナカ 東洋の至宝を欧米に売った美術商』
朽木ゆり子著 新潮社 2011年発行

 今日、日本に憧れを抱く外国の若者は少なからずいるようです。彼や彼女たちを惹きつけるのは、しばしば日本のゲームやマンガ、アニメなど。アニメの登場人物などになりきる「コスプレ」にずいぶんと気合を入れて挑む人たちもいて、なんだか楽しそうです。ただ、日本文化が外国の人々を魅了するという現象は、今に始まることではなかったようです。100年以上前頃にも、日本の美術品に対するブームが起こり、「ジャポニスム」なんて言葉も生まれたのですから。丹念な資料調査を基にこの本が紹介しているのも、往時の日本ブームに一役買った人々の姿です。1世紀前の「クール・ジャパン」の仕掛け人たちの奮闘に、想いを馳せさせる一冊です。
(当館上席学芸員 三谷理華)

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