抒情絵師=狩野探幽のユートピア・イメージ
狩野探幽 《富士山図》
1667(寛文7)
紙本墨画淡彩
56.6×118.4cm
文献:34,39
湧き上がる雲、山々の柔らかな形、集落・旅人・漁師・農耕・製塩など繊細な細部描写に注目したい。三保松原先端には群れ飛ぶ白鶴。和歌の聖地=住吉浜や蓬莱山、中国の瀟湘八景など、理想の風景が幾重も重ねられている。数多い探幽の富士図中、最高峰の作品だ。
狩野探幽(1602〜1674) 狩野派の巨匠。徳川幕府の御用絵師。以後の絵画界に大きな影響を及ぼした。
当館には、40代(作品)、50代(作品・作品)、60代(本作)と、探幽の各時期の優品がそろっている。