コレクション風景の交響楽(シンフォニー)

ん? 油彩画?

大久保一丘 《富嶽明暁図》

19世紀前半 (江戸後期)
絹本着色金泥
95.2×48.9cm

明け方の光に照らされる富士山頂。藍に胡粉を重ねて量塊感を出したり、胡粉と朱の冴えで朝日に照り輝く様を表したりと、絶妙の色彩感覚が光る。伝統的な日本の画材で描かれるが、一見油絵と見紛うほどの陰影と質感に驚かされる。江戸期に描かれた洋風表現による富士図として、大変珍しく貴重な作例。

大久保一丘( ?〜1859) 遠州横須賀藩のお抱え絵師。円山四条派風、狩野派風に加え、異色の洋風画を残したことで注目される。

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