失われた風景との対話
五姓田義松 《富士》
1905 (明治38)
キャンヴァス、油彩
46.8×101.5cm
現在の清水港、三保松原から富士を望む風景を想像していただきたい。おそらく、すっかり様変わりしていることにショックを受けるだろう。この作品の画面手前には、広々とした田園が描かれ、煙突や高層ビルなど風景をさえぎるものは、全く存在しない。この作品との対話は、失われた風景を自らの記憶にとどめることを意味している。
五姓田義松(1855〜1915) 江戸生まれ。チャールズ・ワーグマンに絵を学ぶ。フランスに渡り、日本人初のサロン入選を果たした。