コレクション風景の交響楽(シンフォニー)

寒気をきりりと描く

平木政次 《富士》

1897 (明治30)
キャンヴァス、油彩
44.0×67.0cm

沼津市内浦から、牛伏山ごしに富士を望んだ図。冬の澄んだ、冷たい空気が画面全体に満ちている。きりりとしまった画面は、明治初期から後期への洋画史に位置する平木の、こなれた油彩表現を存分に伝えるものである。

平木政次(1859〜1943) 五姓田芳柳に学んだ洋画先覚者の一人。太平洋画会で活躍。著作『明治初期洋画壇回顧』は、貴重な証言である。

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