コレクション風景の交響楽(シンフォニー)

時雨そぼ降る古色蒼然の村

須田国太郎 《筆石村》

1938(昭和13)
キャンヴァス、油彩
97.0×145.5cm
文献:18

丹後半島の乗原から筆石村の棚田を見下ろす。光と闇が連続して現れる一方で、全体としては、前景と後景が、大きく「明と暗」によって対比する構成となっている。そして、無限に広がっていく空間は、西洋絵画を学びながらも、東洋世界に通じた須田が到達した独自の画境であるといってよい。

須田国太郎(1891〜1961) 京都市生まれ。京都大学で美学・美術史を専攻後、渡欧。マドリードを中心に各地を旅し、マニエリスム絵画を主とした模写と風景画を描く。帰国後は独立美術協会に招かれ会員となる。

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