堅固な構成と優雅な色彩。大家の貫祿を示す名品。
鹿子木孟郎 《紀州勝浦》
1910(明治43)
キャンヴァス、油彩
59.0×74.8cm
文献:64
穏やかで優雅なトーンを基調としつつ、随所にみられる鮮やかな紫や緑が印象的である。デッサン、構図ともに作者の安定した力量を感じさせる佳品。海岸や渓流の岩場の風景というモチーフは、晩年に多く描かれた重厚な風景画に連なるものである。
鹿子木孟郎(1874〜1941) 岡山生まれ。小山正太郎に学んだ。アカデミスムの画風を体得したデッサンの名手。晩年は関西の重鎮的存在となる。