白黒で表現した、時の移ろい・穏やかな光景
アドリアーン・ファン・オスターデ 《釣り人たち》
1647-53
紙、エッチング、ドライポイント
11.2×16.3cm
粗末な木の橋の欄干から釣り糸を垂れる男。気長さを要求する釣りという行為に呼応するかのように、周囲の風景にすっかり溶け込んでいる。全50点のエッチングのうち、作者唯一の風景版画と呼ばれる作品だが、本当の主役は悠久の時を刻む、時間そのものなのかもしれない。
アドリアーン・ファン・オスターデ(1610〜1685) 生涯のほとんどを、故郷であるオランダのハールレムで過ごした。農民と下層社会の生活を描いた風俗画で知られる。