もやの立ち込める川面。湿潤な空気をしっとりと再現
川村清雄 《風景》
1920年代頃(大正末から昭和初)
キャンヴァス、油彩
53.0×80.3cm
水面や霧は、薄い重ね塗りで地塗りを活かす伝統的な油彩画法で描かれている。一方、木の枝や水鳥の部分は、水墨を思わせるような闊達な筆づかいで瞬間の動きを描きとめている。和洋の技法をうまく組み合わせ、瑞々しい日本の風景を描き出した。
川村清雄 (1852〜1934) 幕臣の子として江戸で生まれ、徳川家達に従い静岡に移住。1889(明治22)の明治美術会創立に参加、同会解散後、巴会を結成。