はかなげな空気が神域の厳粛な空気を伝える。
石川欽一郎 《神域より天の香具山を望む》
1940(昭和15)頃
紙、水彩
48.0×58.0cm
文献:27,36
全体がもやに包まれる中、中央の天の香具山の存在感が際立つ。付近には遺跡調査をする人々が小さく描かれている。茫漠としたつかみどころのない描法が聖地の雰囲気によく合っている。初期の作品にみられる臨場感とはまた違う魅力がある。
石川欽一郎(1871〜1945) 旧幕臣の子として静岡に生まれる。大下藤次郎主宰の水彩画雑誌『みずゑ』に参加。水彩画の普及をライフワークとした。