近代女性の健やかな息吹
中村岳陵 《婉膩水韻》
1931(昭和6)
紙本着色、六曲一隻屏風
153.0×368.1cm
清流にひとり泳ぐ黒髪の若い女性。まっすぐ腕を伸ばし水を切る姿は、溌剌とした美しさにあふれている。リズミカルな水の韻きを表す波紋の描写、流れる花や岸辺の衣の色彩的なアクセントも、明るさと健やかさを感じさせる。近代的で清潔な裸婦像が新鮮な、岳陵初期の優品。
中村岳陵(1890〜1969) 下田生。写生と古典研究にもとづき、色彩豊かな装飾的な作風を確立。風俗画、花鳥画など作域は幅広い。