氾濫する聖河と相対する画家の気迫
秋野不矩 《ガンガー(ガンジス河)》
1979(昭和54)
紙本着色
148.0×266.5cm
黄土色の濁流で全面を覆い、銀の雨足を伴う黒雲や川面に映る雲影を添え、その壮観をあますところなく表現する。聖河への畏敬の念が、色彩の強さと大画面の迫力によって直裁に語られ、秋野らしい気分の大きな作品に仕上がった。跳ねるイルカの姿が愛おしい。
秋野不矩(1908〜2001) 天竜生まれ、京都で活動した日本画家。「創造美術」結成に参加。インドを題材にした力強い作品を残す。