コレクション風景の交響楽(シンフォニー)

ドリルで生み出された絵画の奥行き

斎藤義重 《作品2》

1960(昭和35)
合板、油彩(ドリルを使用)
169.0×109.0

ドリルで線や面状の凹凸をつけた合板の表面に、明快な赤を基調とする油絵具で彩色をしたもの。板の表面に残るドリルの痕跡によって、筆で描かれた幻影ではなく、現実空間に文字どおり奥行きを出現させている。戦後、平面作品から制作を再開した斎藤の作風が、次第に脱平面化へと向かっていく転換期の頃の作品である。

斎藤義重(1904〜2001) ヨーロッパの前衛芸術の影響を受け1930年より制作をはじめる。1957年に発表した《鬼》で、一躍注目を集め、以来、戦後日本の美術を最前線でリードしただけでなく、後進の教育という面でも重要な役割を果たした。

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