コレクション風景の交響楽(シンフォニー)

錯覚が知覚を問う

高松次郎 《布の弛み》

1969(昭和44)
帆布
360.0×360.0cm

四辺はまっすぐなのに、中央が盛り上がっている。ヘンだ。つまりこれは、広げられた布は四角形で平であるはずという通念を逆手に取ったトリッキーな表現なのである。錯覚や思い込みを利用して、我々の知覚や認識のあり方を問う、この時期の高松作品の典型例である。

高松次郎(1936〜1998) 東京生まれ。ハイレッド・センター結成、もの派の中心的作家。美術界に絶大な影響を与え続けたトップスターだった。

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