コレクション風景の交響楽(シンフォニー)

モノトーンが生む微細なコントラスト

宮脇愛子 《作品12》

1962(昭和37)
パネル、油彩・大理石粉
121.0×181.5cm(額付外寸122.8×183.2cm)

1990年代半ばに再発見された初期絵画のうちの1点。画面右4分の1は平滑な面で区画され、残る左側に手あとが残る有機的な形体が反復する。大理石の粉を混ぜた油絵の具の薄い厚みにより、彫塑的な表情を帯びた表面は、モノトーンのなかに光と陰の微細なコントラストを生み、複雑な表情をたたえている。

宮脇愛子(1929〜2014) 静岡県熱海市生まれ。早くより欧米の現代美術界に身をおき、同時代の動向を肌で感じ取りながら、絵画から立体へと作風を展開。作品が置かれる環境との関係を視野に入れた独自のスタイルを形成した。

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