T:タンギー爺さん Le
Pére Tanguy
ロダン美術館には、《タンギー爺さん》を含むファン・ゴッホの油彩画が3点収蔵されている。これらは、ロダンが購入したコレクションである。ふたりの芸術家は直接の知り合いではなかったが、画商だったゴッホの弟テオとロダンとは手紙を数回やり取りしており、またゴッホは、1889年に開催された「モネ/ロダン」展のカタログが興味深かったことを、やはりテオに宛てて書いている。
タンギー爺さんことジュリアン・タンギーは、パリに画材店を構え、当時作品がさっぱり売れなかったゴッホらを支援していた人物である。ゴッホが描いた《タンギー爺さん》の肖像画は全部で3点あり、ロダン所有の1点はおそらく最後に制作されたもので、もっとも完成度が高いとされている。ジャポニスム(日本趣味)を広く理解し、そこから影響を受けたゴッホの芸術を証明するように、6枚の浮世絵を背景にして、椅子にどっかりと腰掛けた、実直そうなタンギー爺さんを真正面から捉えた、独特な構図の作品である。 |
フィンセント・ファン・ゴッホ《タンギー爺さん》
1887年 ロダン美術館 |