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粘土の直付けによる人体彫刻の制作に長けていたロダンは、その自然観察力と強い表現力、独自の肉感などによって、死にかけていた19世紀の彫刻にエネルギーを注ぎこんだ。彼と同時代、もしくは彼に続く彫刻家たちにとって、ロダンは意識しないわけにはいかないほど大きな存在となっていた。 彼の弟子クローデルは、公共的なモニュメントとは正反対の個人的で親密な室内彫刻を作った。助手を務めたブールデルは、より堅固なフォルムを求めてロダンから独立していった。一方マイヨールはむしろ静かでなめらかな表面を持つ女性の体で抽象的なテーマを表し、ドイツ人レームブルックは、マイヨールよりももっと肉感を消去しながら裸体に精神性を宿らせる。同じくドイツ人バルラッハもまた、普通の人々の日常性からにじみでるような精神性を表現した。ロッソはロダンとは異なる表面処理を用いて、彫刻の質感をかつてないものにしていった。 20世紀に入ると、ブランクーシ、ゴーギャン、ジャコメッティ、ムーアなど、非ヨーロッパの文明に価値を見出し、その造形を借用する作家たちが現れてくるが、それもまた、ヨーロッパ彫刻の伝統の後継者ロダンを横目に見ながらのことであった。一方、《地獄の門》でロダンが苦悩していた作品空間の問題は、アーキペンコ、リプシッツらのキュビスムの彫刻空間によってひとつの解答にたどりついた。ヴォリュームによってではなく、面や虚空によって分析され解体された対象は、相対的にしか把握されえない近代の人間の現実を示している。 |
[展示作品]
【ロダン以後の彫刻の展開】 |
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ロダン館/展示作品リスト |
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