《吉田博展》
《ザ・ベスト展2002》
9月14日(土)〜10月20日(日)
吉田博 展 今から百年前の日本の風景を想い浮かべてみましょう。街道沿いの藁葺き屋根の家や山間を流れる清らかな川、前人未踏の深山幽谷。吉田博は、こうした日本の風景を描くため、鉛筆と画板をかかえて、朝はまだ暗いうちに出発し、日が暮れるまで、現在の東京近郊を中心として、日光、富士山頂など日本各地を旅しました。彼が描く鉛筆写生は、素早く正確な輪郭線とわずかな陰影とによって建物や山々などの対象を捉えており、「あるがままの風景」を描いたものとして近代絵画史上、たいへん重要な役割を果たしました。また、こうした吉田の鉛筆写生は、水彩画、油彩画、木版画の制作にも通じるところがあります。百年前に描かれた、今はなき日本の風景を懐古し、その魅力を再発見してみてください。 ※会期中には、学芸員による作品を前にしたフロアレクチャーを行います。
(当館学芸員 泰井 良)
ザ・ベスト展2002 所蔵作品へのリクエストを募り、その結果をもとに開催された「ザ・ベスト展2001」。当館初の試みであり試行錯誤を重ねながらの展覧会でしたが、予想以上の反響を呼び、多くの方のリクエストに支えられてご好評をいただきました。私たちも館蔵品の新しい一面を発見することができ、リクエスト用紙やインターネットを通して寄せられたたくさんのご意見の集積は、美術館にとって貴重な財産となっています。この財産、展覧会に結実させたとはいえ一度で眠らせてしまうのはもったいない、と再び計画されたのが「ザ・ベスト展2002」です。昨年の結果とともに、今年いただいたリクエストも反映させながら、新たな切り口で館蔵品をご紹介していきます。皆さんのリクエストがつくった展覧会、大量得票の人気者を見るのはもちろん、誰かの貴重な1票のおかげで展示された渋い作品との出会いなど、いろいろな楽しみ方ができるはず。ご期待ください。
(当館学芸員 森 充代)
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