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技法セミナー
「実践!グラフィックデザイン−ポスターが出来るまで−」


 みなさんはポスターが出来上がるまでの工程を思い浮かべることが出来ますか。この疑問が今回の技法セミナー開催の発端です。現在のポスターデザインが、コンピューターで加工されていることはご存知のとおりです。きっとコンピューターを睨みながら、試行錯誤している時問がほとんどだろうと私は想像していました。しかし、実際はデザイン作業自体の工程よりも、それ以前の工程に多く時間を掛けていることがわかり驚きました。デザイナーにおいてのデザイン実作業とは、テイストを整える最後の仕上げ作業だったのです。

 まず講師のデザイナー・榊原幸弘氏が、これまで手がけてきた作品の紹介を行いました。それはポスターやCM映像などのヴィジュアルデザインから、お茶の缶や犬小屋などのクラフトデザインまで多岐にわたり、デザインを考えていく上での示唆に富んでいました。次にデザイン制作のポイントについて講義がありました。そして、その学習をもとに架空のポスター作りを行いました。出来上がったデザインの工程をなぞっていくのとは違い、講義で学んだことを実践的に取り入れていくにはまだまだ時間がかかると思いました。

 参加者は、広告代理店に勤務されている方や学校の先生、来春高校を卒業される女子生徒まで幅広い年齢、職業の方が集まりました。参加者のそれぞれが、「デザインについて総合的にやっていきたいが方向性がつかめない」「チラシに載せる写真がどうしても羅列のようになってしまう」といった様々な悩み事を抱えていました。ポスターが出来上がるまでの工程を知る中に、そうした疑問や悩みを解決する糸口が見つかったと思います。

(当館主査 柏原幸泰)

●本の窓
「画文集 バウルの歌」
秋野不矩 著 筑摩書房 1992年

平成13年10月、日本画家・秋野不矩さんが93歳で亡くなられました。「仙女のような」あるいは「永遠の童女のような」方だったと聞きます。ここに紹介する本は、画業の中心テーマだったインドでの体験を中心に、不矩さんのエッセイとスケッチをまとめたものです。人間も動物も一様に飢えながら、すべてをあるがままに受け入れあうインド。その寛容な包容力に心打たれる不矩さんの言葉やスケッチには、乾いた大地に共に立つ者としての共感があります。インドの包容カはそのまま、不矩さん目身や、生み出される作品の魅力となっているのでしょう。その作品を知る人も、まだ知らない人も、一度手にとってみて不矩さんの息づかいを感じていただきたい一冊です。
(当館学芸員 森 充代)


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