当館のロダン館が開館したのは1994(平成6)年3月ですが、同時に重要なプログラムがスタートしました。視覚障害者の方のための、「彫刻を触って鑑賞できるブログラム」です。このプログラムは、学芸員とともに、登録している370人のボランティア(平成14年現在)によって実施されることが当館の特徴です。鑑賞者の方が心ゆくまで作品を味わうことができるようにご案内するガイド役、そして作品鑑賞がスムースに行われるようにサポートするアシスタント役が、ひとつのチームとなってツアーを行います。
これまでは、ボランティア全員がガイド役を務めることができるという体制が基本でしたが、プログラムのレベルをより引き上げるため、今年度、ボランティアの中から専門の「タッチ・ツアー・ガイド」を募集しました。結果、26名のガイドさんが決定し、目に障害を持つ方が気楽に当館を訪れ、安心して楽しんでいただけるよう、研修中です。
当館の「彫刻を触って鑑賞できるブログラム」は、ロダンの作品を多く鑑賞していただくことから、フランスのロダン美術館が実施している「手による鑑賞」プログラムを参照しています。ロダン美術館のこのプログラムは、作品を通してスタッフと鑑賞者との対話によるやり取りを重視し、また、鑑賞の記億をアトリエで作品制作によって再現させる段階まで進むことが特徴です。鑑賞することと作ることが、理念と実践の両面で、表裏一体となっているのです。
ロダン美術館のように、理想的なレベルまで到達するには更に長い時間を要することが推測されますが、自己満足に終わらないよう、よりよいレベルを目指して手探りで進む毎日です。
|