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イタリアの光景 ― 印象派への道 ―
6月22日(火)〜8月15日(日)

若い画家たちが描いた南欧の明るい光と大地
 ヨーロッパ文明の揺り篭ともいうべきイタリア、なかでもローマは、ルネサンスの時代から画家や文人を含め、無数の旅行者たちをアルプスの北側から引き寄せていました。1804年1月、フランスの文学者シャトーブリアンは知人に宛てた手紙のなかで、ローマ近郊の美しさを次のように賞賛しています。「美しさという点で、ローマの地平線や平原の甘美な傾斜、地平線を区切る山々の柔らかで消え入るような輪郭線に比較しうるものはどこにも存在しないのです」。イタリアは、明るく美しい自然風土、古代やルネサンスの美術遺産などの磁力によって、北方から多くの人々を招きいれ、その一方で彼らによって描かれ続けたのでした。
 19世紀の中頃、ヨーロッパの画家たちは、画材をアトリエから戸外に持ち出し、現場で目の前の風景を油彩絵具で描いていました。しかし、こうしたやり方は、その頃に突然採用されたのではなく、まず17世紀のイタリア、特にローマ近郊で実践され、その後1780年前後からローマを中心に急激に広まったのでした。今回の展覧会は、1780年から印象派前夜ともいうべき1850年にいたる70年の間に、フランス、ドイツ、イギリス、ベルギー、オランダなど各地の画家たちによって描かれた油彩による風景スケッチを一堂に集め、その全容をさまざまな視点から紹介するものです。
 今日、オイル・スケッチとも呼ばれるこうした作品の大半は、油彩絵具で描かれた厚手の紙をカンヴァスに貼りこんだものです。それらは、サロンのような公的な展覧会への出品作に欠けがちだった自然の活力や瑞々しさを実によく伝えており、小粒ながらまさに真珠の輝きをはなっているのです。当館で企画した本展は、いま世界で大きな注目を集めている分野であることから、静岡展の終了後、シドニーのアート・ギャラリー、そしてメルボンのヴィクトリア国立美術館へと巡回されます。
(当館学芸課長 小針由紀隆)

ジャン=シャルル=ジョゼフ・レモン
《ローマ、パラティーノの丘からの眺め》
ニューヨーク、メトロポリタン美術館
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
《パッランツァ、マッジョーレ湖》
静岡県立美術館

カミーユ・コロー
《ローマ、ヴィッラ・パンフィーリの庭園》
ニューヨーク、個人

information 
会 期6月22日(火)〜 8月15日(日)
観覧料 一般・大学生 1,000円(800円)
    小・中・高生 500円(400円)
    70歳以上無料
( )内は団体20 名以上、および前売料金
収蔵品展、ロダン・ウイング、ブリッジ・ギャラリーもあわせてご覧いただけます。

●美術講座シリーズ 講座室(申込不要)
第1回 7月3日(土)
  「オイル・スケッチの楽しみ方」
第2回 7月17日(土)
  「ローマにしかない風景の発見」
第3回 7月31日(土)
  「ローマにきた19世紀フランスの画家たち」
講師 小針由紀隆(当館学芸課長)
本展企画者が展覧会の要点について3回連続でお話します。

●夏休み子どもワークショップ
7月27日(火) 〜 8月1日(日) (要申込)
内容の詳細については、6月下旬に県立美術館からお知せいたします。

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