この夏休み、県立美術館では、「アルタイの至宝」展を開催 いたします。みなさんは「アルタイ」という言葉からどのような場所を思い浮かべるでしょう。「ユーラシア大陸の中心?モンゴルの奥?うーん、どのあたりだろう」というような感想が一般的でしょうか。中国、ロシア、モンゴルといった国々に比べ、はっきりしたイメージを抱きにくいかもしれません。
実は、アルタイ地方とはまさにこれらの国々の接する地域であって、東西世界をつなぐ「草原の道」の要衝として、古来、多くの人々が自由に往来していた地域だったのです。現在もアルタイには、「草原の道」の美しく豊かな自然や習俗が残っており、「アジアの真珠」と呼ばれています。本展覧会では、この知られざるアルタイの文化をロシア科学アカデミー所蔵の一級資料によって紹介する展覧会なのです。
とりわけ、今回ロシア国外へ初の出品となる約2,500年前の男性のミイラは、肩に入れられた動物のいれずみや頭髪の一部まで残っている非常に貴重な資料です(図1)。通常残りにくい布や毛皮などの衣服もよく保存されており、土器や金属器だけではわからない古代の人々の生活の様子を垣間見ることができます。 |