昨年10月1日(土)、「草薙のんびりツアー」が開催されました。これは、副題が「旧東海道を歩き、ヤブキタ母樹を観て、美術館でロダン体操」とあるとおりの内容です。
当日は100名を越える参加者がありました。日ごろ慣れ親しんだ道であっても、意外な歴史があったり、古くからお住まいの住民の方からお話を聞くなどし、地域文化を再発見、再認識する機会となりました。とりわけ彫刻プロムナード近辺のヤブキタ母樹とお茶畑は、感慨深いものでした。もともとここは、ヤブキタ茶の開発者である故・杉山彦三郎氏の試験茶畑でした。現在の茶畑はその名残なのですが、これまで農家の皆さんが無償で世話をし、今年初めて茶摘をし、新茶を収穫したのです。ツアー参加者はそのお茶を賞味して、杉山氏とその遺志を引き継いで尽力されてきた田中貞三郎氏やお茶農家の皆さんのご苦労を偲んだのでした。
このツアーの主催は、草薙のんびりツアーの会です。この会は、当館ボランティア「静岡NewArt展お手伝いグループ」と、草薙近辺をはじめとする一般市民、そして「つなぐNPO」によって結成されたものです。ツアー参加者には、静岡NewArt展の体験型作品(黄色いピンポン球を作品に付け加えていく)やロダン体操にも参加してもらい、会と美術館が相互に協力しあいました。
昨今、美術館の運営についても、地域連携や市民参画が重視されています。このツアーは、そのささやかな、しかし充実した一歩となったようです。
(当館主任学芸員 堀切正人)
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