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懐かしい、新しい… 大正シック展
-あるアメリカ人女性が愛したコレクションの里帰り-

2007年9月8日(土)〜10月14日(日)


明治と昭和にはさまれた大正時代は、15年という短い期間でしたが、大正デモクラシーの気運とともに個人の主観性やロマンチシズムを尊重する気風が生まれ、西洋モダニズムやアール・デコの影響を受けた独特の文化が花開きました。

本展は、世界的に高い評価を得ているホノルル美術館の日本美術コレクションから、人間性豊かでロマンティックな香りを漂わせた大正時代から昭和戦前期にかけての作品を、同館の学芸員が選定・構成したものです。核となるのは、パトリシア・サーモンという一人のアメリカ人女性によって日本で収集された作品群です。日本画、版画、工芸品、着物など多彩な出品作約80点は、彼女の目を通した大正時代のイメージを映し出すもので、私たち日本人がこれまで気づかなかった魅力を秘めています。

新しい価値観が芽生えていく時代を積極的に生きる女性たちの姿は、とりわけ印象深いものです。振袖姿で、カメラを手にパッカードに寄りかかる女性のクールなたたずまい(図1)。ほろ酔いに上気した頬も艶かしく、挑発的な視線を投げかける女性の蠱惑的な表情(図3)。画面の中に生き生きと表される彼女たちの姿には、大正という時代の新鮮な風を感じることができます。

同時代の着物も本展の目玉のひとつです。全面にハート文様をあしらったり、電気信号を思わせるような文様で埋め尽くしたりといった柄は、驚くほど斬新で、刺激的です。(図4)

ホノルルで開催された後、アメリカ各地を巡回して好評を博し、ようやく日本への里帰りを果たす待望の展覧会。現代の生活様式は大正時代にルーツを持つものも多いといわれますが、出品作品から溢れでる活力や時代特有の美意識に触れることは、私たちが自らの立脚点に思いをめぐらすことにもつながります。モダンな感覚を反映した明快で洗練された作品の数々との出会いを、どうぞご期待ください。

(当館学芸員 森 充代)


図1 山川秀峰《三人の姉妹》


図2 中村大三郎《婦女》



図3 小早川清
《ほろ酔い(近代時世粧の内一)》


図4 きもの(象形文様)

information 
●観覧料

一般・大学生900円(700円)
小・中・高生400円(300円)
70歳以上無料
※()内は20名以上の団体および前売料金


関連イベント(予定)
●フロアレクチャー特別編 きものから読み解く大正シック
9月23日(日)、10月10日(水)14:00〜(観覧料が必要です)
講師:日比野鈴子氏(夢や)

●学芸員によるフロアレクチャー
9月9日(日)、30日(日)14:00〜(観覧料が必要です)

●実技講座(シルクスクリーン)
9月22日(土)〜24日(月・祝)(3日連続講座)
講師: 北川純氏(美術家、Tシャツアーティスト)
要申込(観覧料が必要です)

●子ども鑑賞講座
10月6日(土)14:00〜(1時間程度)
要申込(観覧料が必要です)



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