ただいま準備中!「心の風景 名所絵の世界」展
2007年11月9日(金)〜12月19日(水)
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風景画を収集の大きな柱にしている静岡県立美術館。展覧会でも、風景にこだわりをもちながら、数々の企画展を開催してきました。今年度は日本の伝統的な風景表現にスポットを当てた「名所絵の世界」展を準備しています。展覧会の種類もいろいろありますが、この展覧会は完全な自主企画展で、当館オリジナルの展覧会です。つまり、一点一点の作品を出品交渉し、時には調査、発掘しながら最終的に展示作品を決めていきます。ぜひ展示したいという作品も、都合により出品してもらえないケースも多くあります。準備の過程はこうした交渉の結果に一喜一憂の毎日です。
展覧会を企画することは、よく料理に例えられます。つまり、よい食材を仕入れながら、どのようにその味を引き出すか。それは料理人の腕にかかっています。食材だけに頼った料理もありますが、新鮮な調理方法によって、新たな感動を呼び起こす料理も多いと思います。展覧会でも、よい作品を集めながら、それをどう構成し、作品の新たな魅力をどう引き出すかが大切です。それも料理人ならぬ担当学芸員の腕次第というわけです。
今回のテーマは、元来、日本各地の「名ある所」を、和歌のイメージに即して絵画化した「名所絵」です。平安時代に生まれて以降、時代を超えて大きな伝統となり、中世・近世そして近代と、その伝統は日本の風景を描くさまざまな絵画で見ることができます。それほどに、日本人の風景観に深く根ざしたものです。今回の展覧会では、「名所絵」の伝統がいかに継承され、また変容していったか、その諸相を名品により紹介します。「名所絵」が日本絵画の風景表現において、どのような意味をもっていたかを感じていただける展覧会にしたいと考えています。日本人の心に刻まれた日本の風景―名所絵の世界。ご期待ください。
(当館学芸課長 飯田 真)
山本探川《宇津の山図》静岡県立美術館蔵
《富士・三保松原図屏風》(右隻)個人蔵
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