移動美術展は、より多くの方が県立美術館所蔵品に親しんでくださることを願い、毎年県内各地の施設を会場として開催しているものです。今年は川根本町文化会館<11月11日〜14日>と島田市博物館<1月15日〜2月27日>の2会場で開催の運びとなりました。
川根本町移動展は、「心にしみる風景—富士山と静岡ゆかりの作家たち」と題し、近現代の風景画を中心とした約50点で構成しました。会場は、本来美術品を展示するための施設ではないことから、エントランス、保健研修室、和室といった各所を工夫しながら活用することとなり、そのおかげで普段とはまた違った作品の表情を見ることができました。4日間と短い会期でしたが、636名の方が来場してくださり、「山の色は"緑"と一口に言っても、黒っぽい緑からオレンジみたいな緑までいろいろ。この絵を描いた人もそう思ったんだね」と豊かな自然に囲まれた日々の実感と絵の中の世界を結びつけてお話くださったり、学校で団体観覧してくれた小学生が週末には家族と再訪して作品の説明をしていたりと、それぞれの楽しみ方でコレクションと触れ合っていただけたようです。会館職員の方々、案内・監視業務を担ってくださった町文化協会の方々をはじめ、ご協力くださった皆様に心より御礼申し上げます。
一方、間もなく開幕する島田市博物館移動美術展は、「日本絵画の400年」をテーマとして、当館自慢の狩野派コレクションや、遠州南画の伝統を示す文人画、また北川民次をはじめとする地域ゆかりの作家の作品など、幅広く日本の絵画をご紹介する予定です。こちらは博物館施設ですので、屏風や掛幅といった脆弱な素材の古美術も多数展示することができ、駆け足ではありますが江戸初期から現代までの400年の時の流れを一気にご覧いただきます。開館25周年という当館の記念すべき年の最初のコレクション展。多くの方のご来場をお待ちしております。
(当館主任学芸員 石上充代)
川根本町移動美術展 展示室風景
作品を選び、気に入った点を
書きとめる小学生
島田市博物館移動美術展 「静岡県立美術館コレクション 日本絵画の400年」
会期 | 1月15日(土)〜2月27日(日) |
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休館日 | 毎週月曜日、祝日の翌日(2月12日(土)は開館) |
開館時間 | 午前9時〜午後5時(入館は午後4時30分まで) |
観覧料 | 一般300円、中学生以下無料 |
主催 | 島田市博物館、静岡県立美術館 |