このイベントは本年度から登場したものです。<Art Room for Teens!>を略してART!と命名。その名のとおり、対象は中学生〜大学生のティーンエイジャー。ロダン館に、糸でインスタレーションするということだけ決めて、企画者兼共同制作指揮者を募集したところ、20名余の中学生と大学生が応募してくれました。基本的に応募してくれた学生に企画を委ゆ だねます。企画会議とグループごとのプレゼンテーションにより、少しずつ自他の完成イメージの相違に気付き、その修正と共有を繰り返していきました。材料・道具のリストアップにこぎつけたのは直前のこと。5日間で、存在感のある空間なり糸の束なりを創出しなければなりません。毎日少しずつロダン館内鋳造模型室奥に毛糸を張っていきました。形や創作意図が見え始めると飛入りで糸を張ってくれる来館者も増え、ワークショップらしさが立ち現れてきました。
完成後、8月末まで展示された共同制作作品は数千本の糸からなる大作となりました。
今回は、木版画をこれから始めようという方を対象に、好きなもの(静物、風景など)をモチーフにして、はがき大サイズの作品を完成させました。4版をたった三日間で彫り、刷り上げるという初心者にはタイトなスケジュールながら、藤田氏の版画にかける想いが参加者のやる気をさらに増幅させ、全員が作品を完成させて持ち帰りました。
この講座は、彫刻などの経験者を対象にした塑造制作中級編という内容で開催しました。参加者は、最初に「ロボットと美術展」出展作品である《空間の中の一つの連続する形》(ボッチョーニ)や《冥王星人》(ナム・ジュン・パイク)、当館ブリッジギャラリーに並ぶブランクーシなどの彫刻、さらにロダン館内の彫刻についての解説や実際に会った作者の様子など、登坂氏による作家ならではの話しに耳を傾けました。
その後、実技室でモデル制作を開始。今回は、塑像台やへら、心棒、粘土といった道具はすべて事前に実技室で準備し、参加者は粘土をつけていく作業からスタート。
骨格、ボリューム、顔の細部の造作といった造形要素の説明、実際に参加者作品に少しだけ手を入れて修正する指先、細部を作りながら全体を常に意識する姿勢など登坂氏の造形理論や彫刻への思いが実技室にあふれ、緊張感の中で参加者が粘土と格闘する姿が印象に残った。
(当館主査 鈴木雅道)