アマリリス Amaryllis

2012年度 秋 No.107

美術館問わず語り

今日の弁当
今日の弁当
 静岡県立美術館と広島県立美術館が締結した相互協力協定の一環で、この4月から1年間、静岡で研修できることになりました。この美術館に通い始めて半年、いろいろな発見がありましたが、自然の豊かさもそのひとつ。ここでの四季を一巡しか楽しめない私にとって、季節の移ろいは楽しみであると同時に限られた時間を意識させますが、それ以上に毎日を豊かにしてくれているようです。3月まで勤務していた広島の仕事場も縮景園という庭園に隣接していて、自然の豊かな美術館ですが、これほど季節を意識したことはありませんでした。やはり自然の力が相当に違うということなのでしょう。静岡に来てすぐ、草薙ツアーで桜を見たり、プロムナードの茶畑で茶摘みをご一緒させていただき、友の会の方たちとも、すぐに仲良くなりました。これも豊かな自然の恩恵といえるかもしれません。
 そんな私が、この4月から始めたのがお弁当を作ること。こちらでは学芸課のみんなが同じ部屋に集まって一緒にお昼ご飯を食べます。館長も出勤日にはご一緒されるのですが、このように学芸課の職員が一緒にご飯を食べるというのは、美術館業界ひろしといえどもここでしか見られない光景ではないでしょうか。そ美術館問わず語りんなわけで、毎日、他の学芸員や館長の楽しい会話に参加させてもらいます。もちろん給食のお弁当を注文するとか、コンビニで買ってくるとかすれば、毎日作らなくてもよいのですが、単身赴任の私の場合、せめてお弁当くらい自分で作らないと生活のリズムが崩れてしまいそうな気がするのです。少々面倒に感じることもあるのですが、ワークショップの講師など、初めてお目に掛かる方などとご一緒すると、お弁当を話のネタに早々と打ち解けたりすることもあり、手作り弁当には意外な効用があります。広島に帰っても続けようかな?
(当館上席学芸員 角田 新)

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