アマリリス Amaryllis

2012年度 秋 No.107

狩野永岳《富士三保松原図》の画像
オーギュスト・ロダン
《女のケンタウロスのトルソと絶望する若者》31.2×24.5×13.1cm
《女のケンタウロスのトルソと女のトルソ》21.5×15.1×12.4cm
《女のケンタウロスのトルソとイリスのためのトルソ》22.9×11.3×13.2cm
いずれもブロンズ

 ロダンの作品には、ギリシア神話に関連するタイトルをつけたものが多い。半人半獣のケンタウロスもその一つである。制作の初期から晩年まで、ロダンは彫刻・デッサンなどにこのモティーフを度々取り上げた。《地獄の門》の左柱にも、その浮彫が見られる。
 これら3点は、ケンタウロスのトルソ(体の一部)と他のモティーフのトルソとを組み合わせて制作された。アッサンブラージュと呼ばれるこの手法は、ロダンによる代表的な彫刻の造形的実験の一つである。
 当館では、視覚に障害がある方に直接彫刻を触っていただくタッチ・ツアーを行っている。こうした彫刻鑑賞に慣れた方でも、これらアッサンブラージュによる小型像の細部を指で見分けることは難しいらしい。彫刻家ロダンの指先から誕生したマジックを物語るような作品である。
(当館上席学芸員 南 美幸)

※ロダン館およびブリッジ・ギャラリーは、10月から来年3月まで工事のため休館の予定です。

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