アマリリス Amaryllis

2012年度 冬 No.108

移動美術館報告

東部地区

会場:富士宮市民文化会館 会期:9月12日(水)~29日(土)

西部地区

会場:磐田市新造形創造館 会期:10月26日(金)~11月4日(日)

 毎週日曜日のお昼と言えば、「のど自慢」!高らかな鐘の音とともに日本各地をまわるこの番組、なんと60年以上も続いているそうです。ほの見える全国津々浦々の人間ドラマが微笑ましかったりもしますよね。
 ところで、静岡県立美術館にも、県内津々浦々をまわる恒例の行事があります!毎年秋ごろ、東部と西部で開催される「移動美術展」です。美術館の所蔵品をあなたの街でお見せするこの展覧会、今年は富士宮市と磐田市に参りました。それぞれの様子をレポートしてみましょう。
 「静岡ゆかりの美術家と美術館の名品」と題された富士宮市での移動美術展には、絵画、彫刻や立体作品など、バラエティに富んだ作品34点を出品しました。美術館のコレクションの幅広さを知っていただくための作品選定です。そして、ご来場のお客様の熱心なこと。開会式の後にギャラリートークをさせていただきましたが、その際にも質問攻め。皆さんの熱さに圧倒されました。17日間の会期に2,500人あまりのたくさんの方にご覧いただいたことからも、富士宮市の美術に対する熱意がうかがわれます。終了翌日の撤収日には台風が来てヒヤリとしましたが、暴風雨の直前にどうにか輸送なども完了し、ホッと一息というスリリングなエピソードもありました。


富士宮移動美術展初日の様子

 続く西部は、磐田市での開催でした。会場の磐田市新造形創造館は、ガラス造形と金属造形の融合をテーマにワークショップなどを開催する体験型文化施設です。これを踏まえ、展覧会には、金属造形の粋ともいえるブロンズ彫刻などの立体作品7点を、「彫刻のいざない」のタイトルの下に出品しました。特に、ロダンの《考える人》(小型像)は、随分話題になったようです。市内循環バスに乗った際にも、「ロダンが来てるから観に行かなくちゃね」と、見知らぬ人からおもむろに話しかけられたりもしました。10日間で800人あまりのご来場でしたが、皆さんご熱心に観て下さったようです。
 ということで、本年度の移動美術展も無事終了。関係者の皆様、ご協力ありがとうございました。鐘を3つ鳴らしてもらえるような、ご満足をいただけたでしょうか?そして来年も、どこかの街に美術館が飛び出します。素敵な街の素敵な人たちと、お会いできるのを楽しみにしています!
(当館上席学芸員 三谷 理華)


磐田移動美術展
ギャラリートークの様子

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