アマリリス Amaryllis

2009年度 春 No.93

美術館問はず語り 「風景ルルル〜わたしのソトガワとの方」展をふり返って

「風景ルルル」展では、展覧会を一人でも多くの人に見てもらいたいとの思いで、地域の方々や美術館ボランティアに協力を呼びかけました。驚いたのは、その呼びかけに対して、さまざまな人々が恐るべきボランタリー精神と、こちらの想像を超える行動力と遊び心で応えてくれたことでした。
草薙スクエア(静岡県立大学OBと地域の有志によるサークル)は、現役県大生も募って、美術館と県大をつなぐ! をコンセプトに「県大ルルル〜美術館へ行こう」を企画。大学祭(剣祭)でPRブースを設置し、草薙の風景写真を公募、集まった写真を美術館に展示しました。(1)
アートプロジェクトSHIZUOKA2008 実行委員会さんとは、集客を願う互いの目的が合致して、合同でスタンプラリーや座談会を開催。
美術館近くのカフェ・スノードールさんは、ルルル展を盛り上げようと「私(マイ)風景」展と題した自主アート企画展を開催、多くのアートファンが二つの展覧会をはしごしました。
美術館ボランティアからも多大なパワーをもらい、草薙ツアーの力添えで掛川市の富士東製茶協同組合協力による茶会を行ったほか、広報支援グループは、街のカフェや雑貨屋を回り、口コミでの広報活動にまい進しました。また、「ストリートフェスティバルin Shizuoka」では、ルルル展PRブースのデザインと造作を、本業が大工のボランティアさんが手がけました。(2)(3)
こうしてふり返ると、ルルル展を媒介に自らも表現することを楽しんでくれた皆さんの笑顔が思い出されます。
展覧会は、人々の期待や夢をふくらませ、好奇心や自発的な行為を刺激する場になりうる。美術館でできることの可能性はまだまだ無限にある。「風景ルルル」展を終えた今、そう思っています。
(当館学芸員 川谷承子)

雲をイメージしたかぶりものの写真
(1)美術館近くにあるお寺の副住職の平尾さんはお仕事の合間に(?)、会場で使うルルル展ポスターの雲をイメージしたかぶりものを作りました。
(県大ルルル〜美術館へ行こうにて)

風景ルルル展PRブースのデザイン画像
(2)展覧会のポスターの世界観をそのまま三次元化したかのような風景ルルル展PRブースのデザインと造作。
(ストリートフェスティバル in Shizuoka内ルルル展PRブース)

ストリートフェスティバルの造作物画像
(3)ストリートフェスティバルの造作物

このナンバーの号のトップ

前のページヘ次のページヘ