《美術館に「評価」という怪物がやってくる》
今年度より、美術館は、展覧会の開催、実技講座、ギャラリートーク、またレストランや県民ギャラリーなど、諸活動に関する「評価」に取り組みます。全国でも初めての試み、「評価」とは、どういうものなのでしょうか。
美術館は、多くの利用者が訪れる公共施設です。こうした施設には、果たさなければならない役割があります、これが館の“使命(ミッション)”です。ただし、今後、この使命は美術館や行政が主体となるのではなく、美術館が利用者とともに作り上げていくことになります。それに先立って、美術館では、今年度より皆様に美術館の諸活動に関するアンケートをお願いすることになります。お手数をお掛けすることと思いますが、皆様と一緒により良い美術館を作るために必要なものですので、是非、ご協力をお願いいたします。そして、このアンケートを行うことで、「今後、美術館が何をすべきなのか」という具体的な目標を作っていきます。これが、ベンチマークスという名前の指標で、現在約70項目が予定されています。例えば、指標の具体例としては「展覧会からインパクトを受けた観覧者の割合」、「普及事業の新規受講者の割合」、「教育現場における学校向けプログラムの貢献度」、「学芸員の研究業績評価」などがあげられます。こうした指標にもとづき、現状の数値を把握し目標値を設けて、その達成度を測るのが評価の作業ということになります。つまり、皆様にとって美術館は満足のいく活動ができたかどうかを目に見えるかたちで表わし、至らない点については速やかに改善を目指すものです。さらに、こうした作業を通じて、皆様とともに美術館の魅力やその役割についても考えていきます。つまり「評価」とは、利用者の皆様との対話を図るための一つの手段であり、これによって美術館をこれまで以上に身近なものに感じていただき、積極的に館の活動にご参加いただけることを願っております。
※なお、アンケート調査は、今年度より、館内各所で実施いたします。
ご協力をお願いいたします。
(当館学芸員 泰井 良)
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