祥伝社 2011年
当館のボランティアさんから薦められた本で、運良く、最初に訪れた書店で予約をキャンセルされた1冊を手にすることができました。損保業務だった著者が人事異動で館長となり、全国の美術館・博物館が不況下で次々と閉鎖されていく中で、様々な人々との連携を模索しながら地道な努力を積み重ねます。小中学生の美術鑑賞教育を月曜休館日に行い、市民ボランティアによる「よく見て、感じて、考えて、話して、聞く」対話型鑑賞の普及の記録です。美術館や学校教育について現在に至るまでの流れも書かれ、児童生徒、教師、大人の感想も多く載っており、利用者やまわりの人たちの声を大切に受け止めていることがわかる1冊です。
(当館学芸課主査 伴 野潤)