旅。日常を離れて体験した場所や時間は、新鮮な驚きや発見をもたらし、長い間記憶に残ります。この展覧会は、旅をテーマに、19世紀から現代まで12 人の英国人作家を紹介します。一口に「旅」と言っても、作家によってそのスタイルはさまざま。絵画、彫刻、版画、写真、映像など、幅広いジャンルで構成された約170 点の出品作品には、日本を含む遠く離れた土地での体験のみならず、過去の記憶という時間の旅をテーマにしたものも含まれています。そこで、12人の作家たちを、下記の4つのセクションに分けてご紹介しようと思います。
(1)日本:「日本」に触発された作家たち。日本の自然や伝統的技術、日本ならではのモティーフに魅せられた作品の数々。
(2)記憶:「時間」をさかのぼる作家たち。愛情あふれる家族との一場面や、辛く厳しい過去の記憶。
(3)抽象:美術への探求から、抽象へとたどり着いた作家たち。
(4)欧州:故郷・英国への愛着、そしてヨーロッパへの旅を作品にした、風景画の巨匠たち。
出品作品の中でも、特に大きい比重を占めるのは、日本をモティーフとした、あるいは実際に日本で制作された作品です。右上の画像は本展のポスター・デザインですが、タイトルを中央に、作品をその上下に配した大きい円は、日の丸とユニオン・ジャックをかけ合わせており、「日・英美術の出逢い」というサブテーマを表現しています。日英外交関係150 周年にあたる今年、旅という視点から紹介するイギリス美術展をどうぞお楽しみください。
(当館主任学芸員 南 美幸)
観覧料 |
一般 800円(600円) 高校生・大学生・70歳以上 400円(300円) 中学生以下 無料 ※()内は前売または20名以上の団体料金。 |
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特別講演会 「シリーズ・イギリスへの招待」 |
9月21日(日) 「イギリス周遊−自然に触発される旅」 潮江宏三氏(京都市立芸術大学学長) 10月12日(日) 「イギリスの暮らし−絵になるイングリッシュガーデン」 吉谷桂子氏(英国園芸研究家・ガーデンデザイナー) 10月18日(土) 「イギリスのティーハウスやウォーキングを楽しむ、滞在型旅のすすめ」 小関由美氏(文筆家・英国アンティーク研究家) ※いずれも、14:00 〜15:30(開場13:00) 当館講堂。先着順。無料。 |