今日の日本では、産業や医療の現場から漫画・アニメ等のフィクションに至るまで、社会のあらゆる分野でロボットが活躍しています。なかでも人がたロボットは、美術やサブカルチャーの世界において独自の展開をとげてきました。
「ロボット」という言葉は1920年、チェコの文学者カレル・チャペックの戯曲『R.U.R.』に初めて登場しています。20世紀の芸術運動や科学技術と結びついたロボットは、時代の文化を華やかに彩るスター的存在となりました。また、とりわけわが国では、戦後大衆文化の文脈において、ロボットはなくてはならない存在ともなっています。
本展は、ロボット黎明期にあたる戦前の新興美術、戦後のヒーローロボット、そして現代のアートやデザインの世界でのロボットを紹介し、その文化的意義を問うものです。
(当館上席学芸員 村上 敬)
ウンベルト・ボッチオーニ
《空間の中の一つの連続する形》
ブロンズ、1913年
彫刻の森美術館蔵