アマリリス Amaryllis

2010年 夏 No.98

本の窓
『ゴッホは欺く』 ジェフリー・アーチャー著

永井淳訳、新潮文庫(上・下)、2007年


フィンセント・
ファン・ゴッホ
《包帯をしてパイプを
くわえた自画像》
個人蔵
 のっけから個人的な話で恐縮だが、ジェフリー・アーチャーが好きだ。プロットの運び方、個性あふれる登場人物の鮮明な表現、モティーフの料理の仕方など、ストーリー・テラーとしての才に惚れ惚れする(勧善懲悪主義、多少予定調和的なところも含めて)。この本は、表題どおりゴッホと、アメリカの9.11テロを素材にしている。ゴッホが「誰を」「どのように」欺くのか、美術ファンならば読んでおきたい1冊。胸がすかっとします。ところで、今年はゴッホが没して120年。世界各地の美術館で回顧展が開催されている。
(当館上席学芸員 南 美幸)

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