アマリリス Amaryllis

2010年 秋 No.99

本の窓
『金沢健一「音のかけら」とワークショップ展(報告書)』

(私家版) 編集:金沢健一、新倉美佳 2006年から継続

 作家を呼んでのワークショップを、どこの美術館でも行う。だが、そもそも作家は教育者ではない。美術館は子ども相手の都合のいい先生扱いで、安易に作家を招聘してはいないだろうか。本来それは、高質な美術表現を目指すからこそであり、ひとつの展覧会を行う以上のハードワークであるはずなのに。こうした問題を踏まえて定点的、継続的に開催されたのが、このワークショップである。恵まれた環境で制作三昧なんてことではなく、自ら社会の中に身を置き、どうしょうもない現実と向き合っている作家たちがいる。はたして美術館はそうした現場たりえるのか。それは、教育普及活動だけの問題ではない。
(当館上席学芸員 堀切正人)

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