ベーハムは、小型の銅版画を制作したことから「小作品のマイスター(クライン・マイスター)」と呼ばれる芸術家の一人。同じニュルンベルク生まれのデューラーの弟子とする説もあるが、定かでない。1531年頃からフランクフルトに移住し、ここで没した。
ヘラクレスの事績(12枚組)
1542−48
紙、エングレーヴィング
ベーハム晩年のこの作品は、作家唯一の古代ギリシア神話の英雄を主題とする連作である。古代神話に登場する神・英雄の中で、ヘラクレスは美術家が最も多く取り上げた主題である。数多い物語の中で有名なのは、妻子殺しの罪を償うために、エウリュステウス王から命じられた12の難題への挑戦、いわゆる「十二の功業」である。ベーハムは「十二の功業」から3つの逸話のみを選択し、ヘラクレスの他の冒険譚と死にいたる逸話を組み合わせて、全部で12枚組の連作を創作した。卓越した線描の技術と画面構成で、全能の神ゼウスと人間の女性の間に生まれた、英雄の数々の冒険と死の物語が展開されている。
《ヘラクレスとケンタウロス》 4.9×7.7 |
《ヘラクレスとネメアのライオン》 5.2×7.7 |
《ヘラクレスとヒュドラ》 5.2×7.7 |
《ヘラクレスとガザの柱》 4.8×7.0 |
《ヘラクレスとカクス》 4.8×6.9 |
《ヘラクレスとアンタイオス》 4.7×7.0 |
《ヘラクレスとケルベロス》 5.1×7.6 |
《ヘラクレスとトロイア人》 5.2×7.7 |
《ヘラクレスとネッソス》 5.0×7.7 |
《ヘラクレスとイオレ》 5.1×7.7 |
《ネッソスの衣服をヘラクレスに届けるリカス》 5.2×7.7 |
《ヘラクレスの死》 5.3×7.8 |