コレクション新収蔵品

2012年 静岡県立美術館 新収蔵作品

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油彩(日本)

原勝郎 1889-1966(明治22-昭和41)

千葉県生まれ。白馬会葵橋研究所を経て、1918(大正7)年、ハワイに渡り、新聞の挿絵画家として働く。さらに、1920(大正9)年にはアメリカ本土に渡り、ロサンジェルスの葡萄園で働いて渡仏の費用を蓄える。パリでは、1924(大正13)年からサロン・ドートンヌに、1925(大正14)年からはサロン・ザンデパンダンにも出品をはじめ、いずれも帰国まで毎年出品した。帰国後は、日展の無監査出品を断り、木内克のいる新樹社展に出品し続けた。

ヘラクレスとケンタウロスの画像
《セーヌ河畔》
1935(昭和10)
キャンヴァス、油彩
45.8×60.3
1935(昭和10)年、パリ滞在中に制作された作品。セーヌ川越しに、ノートル・ダム寺院(パリ)を遠望する。類作として《セーヌ河畔》(1935年、千葉県立美術館蔵)がある。セザンヌ風の類型化された作風になる以前の実景に忠実な描写の残る作品であり、当時のパリの情景を穏やかな筆致と色彩で描いた優品である。
ヘラクレスとネメアのライオンの画像
《ノートル・ダム寺院(パリ)》
1922-1939(大正11-昭和14)
キャンヴァス、油彩
52.8×43.2
パリ滞在期に描かれた作品で、パリのノートル・ダム寺院を主題としたものである。画面には、寺院のファサードが大きく描かれており、力強く迫力に満ちた意欲作である。素早く粗々しい筆致と重厚な絵肌(マティエール)が、画面に存在感を与えている。
パリ風景の画像
《パリ風景》
1922-1939(大正11-昭和14)
キャンヴァス、油彩
45.4×53.0
パリ滞在期に描かれた作品で、主題となった場所などは不明である。素早く粗々しい筆致と重厚な絵肌(マティエール)が、画面に動きを与えている。こうした作風は、帰国後にみられるフォーヴィスムの傾向や表現主義的作品を暗示するところがある。
パリの街角の画像
《パリの街角》
1922-1939(大正11-昭和14)
キャンヴァス、油彩
45.0×53.0
パリの街路を主題としているが、描かれた場所などは不詳である。画面中央には、細く曲がった路が配され、左右に静かな佇まいの建物、さらには街灯が見受けられる。佐伯祐三や荻須高徳の初期作品にも通じるモティーフであり、1920-30年代のパリの情景を伝える貴重な作品である。
樹の画像
《樹》
キャンヴァス、油彩
50.2×60.5
1950年代から60年代にかけて、原は、樹と題する作品を多く手掛けている。本作もその一つで、この時期の日本におけるフォーヴィスム、表現主義といった潮流を反映しながらも、力強い筆致で、独自の作風を示した作品である。
早春の画像
《早春》
1940(昭和15)
キャンヴァス、油彩
37.8×45.5
長閑な田園風景を自然主義的な写実によって捉えた秀作である。描かれた場所などは、分かっていないが、制作年は、フランスから帰国した翌年にあたる。あるいは、故郷・千葉の風景なのかもしれない。作風としては、滞欧期のセザンヌ風のものから、後年のフォーヴ調のものへと移行する過渡期に位置付けられる写実作品である。
樹の画像
《樹》
キャンヴァス、油彩
60.5×80.5
1950年代から60年代にかけて制作された「樹」連作の一つ。和製フォーヴ、表現主義の流れを反映しつつも、日本の風土に適った風景を独自の作風で試みた作品である。この時期の作品は、素早く粗々しい筆致と重厚な絵肌(マティエール)が特徴である。
森の画像
《森》
キャンヴァス、油彩
45.5×60.0
原は、1950年代から60年代にかけて、森、樹の連作を制作している。和製フォーヴ、表現主義の流れを反映した作品で、大胆な色彩と単純化された画面構成が、画面に存在感を与えている。
村道の画像
《村道》
1955(昭和30)
キャンヴァス、油彩
53.0×72.4
1955(昭和30)年、作者の比較的晩年に制作された故郷・千葉の風景である。秋の彩りをみせる山を背景に、中景の樹木、前景の自転車に乗った人物と田植をする人などが、簡略化された筆致と穏やかな色彩で描かれている。日本の原風景を表したものであり、作者晩年の境地を示す充実した作品である。
静物(洋梨と壺)の画像
《静物(洋梨と壺)》
1950頃(昭和25頃)
キャンヴァス、油彩
44.8×52.8
1950年代以降、原は、樹や森の制作と併せて、静物画を制作している。静謐で理知的な画面構成と色彩によって、対象を的確に捉えている。洋梨がヴォリューム感を持って立体的に表されているのに対して、後景の壺は、やや平面的に捉えられており、滞欧期に影響を受けたセザンヌからの感化も見受けられる。

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