《春園の月》
1937‐39(昭和12-14)
絹本着色 掛幅 105.6×137.1cm
明治から昭和に渡って近代日本画を牽引し続けた横山大観の作。当館では3点目の所蔵となる。
横幅が140cm近くにもなる異例の大幅に、銀泥の月に照らし出された梅園が描かれる。古木は風格ある趣だが、開き始めた白梅の花は可憐で、辺りはその香に満たされるよう。的確な水墨技法で描き出されたモチーフは、素朴な味わいと共にうごめくような生命感をも宿す。大観らしい気分の大きさを感じさせる迫力ある一品。
安田靫彦は横山大観らに続く院展の第二世代として活躍。歴史画を得意とし、新古典主義と呼ばれる高雅な画風を築いた。
ご寄贈いただいた2点は昭和戦前期の作と考えられるもので、靫彦らしい線描の美しさを味わうことができる。《雅扇》は、流麗で的確な描線と控えめな着彩により、中国風俗の女性の艶やかで気品あるたたずまいを描き出す。《不動明王像》では、法隆寺金堂壁画などの古絵画から学んだ張りのある力強い墨線が、尊像の充実した体躯を形作り、金泥や墨のぼかしとの対比の中でその姿を際立たせる。いずれも靫彦の確かな技量と高潔な画趣が光る作品である。
著作権などの都合により、 この作品は画像を掲載しておりません。 《雅扇》 1936(昭和11) 絹本着色 掛幅 137.8×41.5cm |
著作権などの都合により、 この作品は画像を掲載しておりません。 《不動明王像》 1942(昭和17)頃 紙本着色 掛幅 148.0×54.0cm |