コレクション新収蔵品

2015年 静岡県立美術館 新収蔵作品

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ミクスト・メディア

飯田昭二 1927(昭和2)-

鏡によるトリックを巧みに生かした作品。鳥かごの中央が、両面鏡の板で仕切られており、一方の空間には、ピンクのハンドバックが、もう一方に黒いハンドバックが置かれている。鑑賞者は、かたや実在するハンドバックを、かたや鏡に映った虚像を同時に見るとき、対等の関係で目に映る実像と虚像の関係性に惑わされる。
1968年にロンドンの現代ギャラリー(ICA)で開催された「蛍光菊展」への出品作の1つとして、当館所蔵の《Half and Half(ハイヒール)》(1968年制作)と同時に制作された。塗料の剥落が激しかったため、2012年に鳥籠の色が塗り直されているが、造形そのものは、当時のオリジナルであり、貴重である。

Half and Half(ハンドバック)の画像

《Half and Half(ハンドバック)》
1968(昭和43)*2012(平成24)年に一部加筆
鳥籠、鏡、ハンドバック
48.0×50.0×50.1cm

嵯峨篤 1970(昭和45)-

1970年東京都生まれ。嵯峨篤は、家具や建具など日用品に広く使われるMDFを素材に使用し、表面に塗装と研磨を繰り返し、透明な輝きを放つデリケートな質感を生み出す。最小限に切り詰められた形と色が、光沢を際立てている。作者本人と家具工場の職人の共同作業によりすべて手作業で、100を越える工程を経て作られている。よく見ると1枚ごとに垂直面の傾斜の角度がミリ単位で違えられており、見る位置によって写り込みの大きさや位置の存在感がわずかに変わるように、厳密に計算されている。過剰なまでのディテールへのこだわりと、厳しく妥協のない制作プロセスこそが、作品の特徴といえる。

嵯峨篤の画像

《Repose/009-017》
2008(平成20)
MDF、ウレタンコート、9枚組 41.5×41.5×3.3-4.7cm

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