コレクション風景の交響楽(シンフォニー)

風景の競演

風景の結晶

このコーナーでは油彩画を中心に独自のスタイルを持つ風景表現をご紹介する。画家は誰もが自分だけの個性的な表現を持っているのものだが、ここで紹介する作品群にはとりわけ強く画家の個性があらわれている。いずれの作品も伝統的な写実のきまりを離れた自由な雰囲気にあふれている。
歴史をひもとけば、19世紀後半、クロード・モネら印象派の画家たちは、伝統的な規範よりもみずからの眼に忠実に光や風の移ろいを描きはじめた。それをきっかけに、20世紀の画家たちは自分たちの気持ちひとつで色やかたちを自由に扱うようになったのである。華やかなヴラマンクやシニャックから繊細なルーセル、大地への深い慈しみをたたえた香月まで、さまざまな画風がそこにある。しかし、いずれの作品にも画家の眼を通した真実の「風景」が結晶しているのである。

輝く色彩。フォーヴ期ヴラマンクの本領発揮。

モーリス・ド・ヴラマンク 《小麦畑と赤い屋根の家》

この世ならぬはかなさを表現した版画技法の極致

ケル=グザヴィエ・ルーセル 《風景》

故郷への想いがつまった風景の結晶

香月泰男 《冬畠》

行き行きて抽象

鳥海青児 《壁の修理》

大陸の大地を思わせる大らかな画面

山口長男 《脈》

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