ジャン=ヴィクトル・ベルタン
《ディアナと水浴するニンフのいる古典的風景》(左)
《ナルキッソスのいる古典的風景》(右)
油彩、ガラス 直径:12cm 1797年 当館蔵(平成19年度寄贈)
作者のベルタン(1767-1842)は、パリを中心に活動したフランスの風景画家。ピエール=アンリ・ド・ヴァランシエンヌの指導をうけ、1790年代から没するまで古典的風景画をサロンに出品しつづけた。後進の指導にもあたり、アシル=エトナ・ミシャロンやジャン=バティスト=カミーユ・コローにも助言を与えていた。
昨年度寄贈された2点の作品はともに、オウィディウスの『転身物語』に主題を求めていて、円形の凸面ガラスに油彩で描かれている。サイズや技法から推すと、家具を飾る絵として制作されたのかもしれない。人物が小さいため主題を言い当てることは容易でないが、木立、岩、水面などのモティーフは、新古典主義の風景画らしく整然と配置されている。
(当館学芸部長 小針由紀隆)