アマリリス Amaryllis

2010年度 春 No.97

幼な子イエスを連れて、父ヨセフと母マリアは、ベツレヘムからエジプトへ旅立つ。イエスの誕生によって、その地位が奪われることを恐れたヘロデ王の魔手から、我が子を守るためである。本作は27枚より成るシリーズで、聖家族の旅路の描写がその大部分を占める。ティエポロは、丘を越え、舟で川を渡るなどのヴァリエーションに富んだ旅程を演出し、脇役の天使たちや移りゆく風景を念入りに描き加えた。宗教美術の主題でありながらも、家族愛に満ちた心温まる情景が展開されている。
ヴェネツィア生まれの作者は、父とともに、一時期、ヴュルツブルクの領主大司教の居城のフレスコ装飾に従事した。同地を離れる際、パトロンに献呈したのが本作である。
(当館主任学芸員 南美幸)

ジョヴァンニ・ドメニコ・ティエポロ《エジプトへの逃避》の画像
ジョヴァンニ・ドメニコ・ティエポロ
《エジプトへの逃避》
1750−53年頃

INDEX

バックナンバー