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草間彌生《最後の晩餐》1981年(昭和56年)
ミクストメディア(テーブル、椅子6脚、綿布、綿、既製品ほか)
テーブル:107×215×108 椅子:各80×45×54
当館蔵(平成2年度購入)

テーブルと椅子、カラフルな色、水玉プリント、綿の入った詰め物。この作品を構成する個々の要素は、彫刻というよりも、インテリアやファブリック、あるいはホビーとしての手芸を思わせる。これほど日常的で愛らしい要素によって成立しているにもかかわらず、しかし、それらの集合体であるこの立体物がなみなみならぬ異様な空気を放つのは、突起物で全面をびっしりと埋め尽くす作者の病的な行為ゆえであろう。この突起物はセックスを象徴する男性性器(ファロス)であり、自らに恐怖を呼び起こすこのフォルムを、「作って、作って、いっぱい作り出すこと」で、セックスに対する恐怖や傷を癒すのだと作家は述べている。「自己療法」こそが、止むことなく現在まで自動発動的に作家を制作へと駆り立てる原動力となっている。

(当館学芸員 川谷承子)

Index
■草間彌生の世界 初期油彩画の代表作から近作まで
■心の風景 名所絵の世界
■夏休み子どもワークショップ「どっぷり日曜美術館!」
■谷田の丘を文化の丘に −地域連携を深める
■研究ノート 石田徹也の作品について −逡巡する自我像
■本の窓 「だまされる視覚 錯視の楽しみ方」
■美術館問はず語り モノの語る声


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