屋外彫刻を傷つけられて(館長)

お知らせ
 たいへん残念なことが起こりました。去る1月30日に、当館が所蔵する彫刻作品トニー・スミス《アマリリス》が何者かによって傷つけられていることが判明しました。この彫刻は開館時から当館の正面広場に設置されており、いわば当館の顔です。当館の広報誌《アマリリス》のタイトルもこの彫刻に由来します。
 屋外彫刻はつねに風景とともにあり、展示室に並んだ作品や収蔵庫に保管された作品とは異なり、誰もがいつでも自由に見ることができます。したがって、はじめから無防備な環境にあるわけです。あえて屋外に設置したのは、それが多くの人々によって共有されるべきだと考えたからです。《アマリリス》の足元には、「みんなの作品です。大切にしましょう。」というプレートもはまっています。今回の犯行はそのような共有財産の破壊であり、断じて許せません。
 当館は来年に開館40周年を迎えます。開館と同時に整備された彫刻プロムナードも同じだけの歳月を風雨にさらされ、彫刻に傷みが見られるようになりました。そこで、彫刻修復のためのクラウドファンディング「次世代へつなぐ!アートとみどりの散歩道 再生プロジェクト」を昨年8月に立ち上げました。10月末までに、189人の方から目標金額を超える10,597,000円のご支援を賜りました。
 最初に手がけたのが《アマリリス》の修復でした。暮れには修復が終わり、設置当初の美しい姿によみがえったばかりでした。今回の犯行は、こうして美術館を支えてくださる多くの方々のお気持ちを踏みにじるものであり、もしもそれがクラウドファンディングによる修復を知っての上でのことだとすれば、いっそう卑劣な行為だと言わざるを得ません。
 当館としましては、直ちに修復に取り掛かるとともに、より厳しく管理に努めることをお約束いたします。
 
                                         静岡県立美術館
                                       館長 木下直之
 
 

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